父の話

私の父は多分ACだったのだと思う。詳細は省きますが、そうなる環境でそういう親に育てられているからです。そして自己愛の母と結婚した。二人は共依存関係だったのでしょう。

お見合いでの結婚だったけど、父は母に自分の母親を重ねてしまったのでしょう。結局、母親にされてきたことを結婚生活でも強いられることになったのですから。

心の奥の奥ではそんな生活は望んでいない。なのにACは無駄に我慢強い故に、自分が耐えて済むのならばいいと考えてしまう。

しかしそれでは理想と現実のギャップを広げるだけなのに、自分を納得させる為に無理やり理想の自分に近付ける必要がある。

父は、なりたくもないのに一生懸命”父親”を演じていたのだ。まさに子供が子供を産んだ状態で、思い通りにならなければ暴力を振るうしか解決策が見出せなかったのだと思います。

 

私が成人して数年経った頃から、父はとても穏やかになりました。晩年は、年月がこれ程人を変えるのかと思う位、昔の面影はなくなっていた。

歳を取ると丸くなるって本当だとしみじみ思っていた私ですが、本当の理由は恋人の存在でした。

父が他界する前、一番気に掛けていたのは恋人です。自分の命を失うより、好きな人を好きな場所に連れて行けないことの方が辛いようでした。

私は父の恋人と色んな話をしました。そこには私の知らない父がいた。とても勤勉で真面目で、恋人のお子さん達にも頼りにされる人。

そして父の恋人はとても素敵な方でした。父の我が儘も甘えも、全て受け入れて「そこがいい」と言える方。

 

もちろん不倫は良くない。だけど自分より大切な人に出逢えただけで、一生分の幸せを感じたのだと思うのです。

私は父に愛を教えてくれた、その方に感謝しています。