ソウルメイトのNさん

私とNさんは親子ほどの年齢差がありました。お子さんがいなかったせいもあり、ご夫婦で私を本当の子供のように大切にして下さったのです。

仕事が終わると、食べることと料理が大好きなNさん夫婦に連れられて、美味しい物を御馳走になる。裕福でもなく料理下手で偏食がちな私の家では考えられない生活でした。

食べず嫌いだった私ですが、すんなりとその食生活に馴染んでしまった。そんな私に「色んな世界を知っておきなさい」と、いつもNさんは隣で微笑んでくれていた。

 

Nさんの所で働き出してほどなく一人暮らしを始めた私は、毎週休日になるとご夫婦に誘われて一緒に食事に行き、時にはご自宅で手料理を頂くようになりました。

ですが、きちんとしたお給料をいただいている上に、そこまでしてもらうのは有難いけれど気が引ける。そう言うと、「親にとって子供の成長が一番嬉しい」「子供が喜んで食べてくれることが私たちの喜び」だと言ってくれた。

私とNさんは食事だけでなく、買い物に行ったり料理の手伝いをしたり、いつの間にか一緒にいるのが当たり前になっていました。もちろん親とも食事に行くことはあったけれど、義務でしかない。常に接待をしている気分だった。

 

Nさんは私の誕生日はもちろん、クリスマスなどにも「若い内から良い物に触れておきなさい」と言い、10代にふさわしくないような高価なプレゼントをしてくれました。

こんなふうに、お金の使い方や貯め方・料理の仕方・礼儀作法といった生きる上で大切なことを全てNさんご夫婦が教えてくれたのです。全然活かせていないのですけど。

Nさんは親族にも「私の娘」と言って紹介してくれ、温かく迎え入れてもらいました。私は魂レベルでの子供なのだそうです。

 

私も、自分を産んだのは私の母親だけど、私を育てたのはNさんだとはっきりと言い切れる。なのにどうしてあの場所から逃げてしまったのかな。