逆転

頑張らないように頑張っていたのをやめてみると、私は自分でも驚くほど仕事が早くなっていた。私は以前の会社の頃よりも遥かにスピードを落としていたから、自分のペースに戻るのは精神的にこんなにも楽だったんだと思う。

そして仕事量が違うとはいえ、何より疲れないのです。これは以前の会社でも感じたことがなかった。

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!

再びあげますが、この本にその答えが書いてありました。「やらされ感」がパフォーマンスを下げるというお話です。

私はこれまで共存共栄を会社にも求めていた。つまり見返りを求めていたのです。心のどこかで自己愛が変わることを期待していた私は、今の会社に抱えている不満が解消されるかもという望みも少なからず持っていたのだと思う。

けれどその気持ちは完全になくなった。会社にいる以上、課された仕事だけはします。ただそれだけの事です。共依存者の精神的なフォローは私の仕事ではないのでお断りする。劣等感を抱くのはその人の問題で、私には何の関係もないのだから。

 

私のこの態度が自己愛の嫌がらせを発動させたのかも知れない。しかし、これが彼の本性を社外に曝け出す結果になってしまったのでした。

彼は外面はいい。私だけではなく他の社員の脳みそもフル活用し、手柄を自分の物にすることで体面を保ってきている。本性を知らない人は「仕事が出来て、面倒見がよく、男気のある人」だという印象を受けるようです。

けれど現実は、思い通りに動かない部下の女性に、仕事と称して下らない嫌がらせを仕掛けるような男である。他人の頭を使って悦に入る、中身のない薄っぺらい人間だ。前世は”いったんもめん”だったのかも。

ところが私を困らせるつもりが、どういうわけか私に同情票が集まり、彼は批判される立場になってしまった。私は困っていないから同情される覚えもないのですが、それを言えばいうほど健気に映るようであります。せっかくなので「慣れてます」感はさり気なく醸し出してみましたが。

私は他人の頭を使うのは悪いことではないと考えています。それも「人を動かす」という立派な能力だと思うからです。ただ、自分で出来るけど使うのと、自分が出来ないから使うというのでは大きな差がある。

後者の場合は失うリスクまで想定しておくべきだったのではないか。対人面に弱い彼は「他人の目」を全く計算に入れていなかったのでした。

何があったのか私には知る由もありませんが、この日を境に私と彼の立場は逆転した。