自己愛の強い人と戦う16

Iさんと出逢って13か月目くらいの頃、微妙な空気を保ったままの社内で、自己愛もまた微妙な態度をしていました。

社内では私宛の電話が極端に減り、代わりに自己愛への取次が増えたのです。その時の自己愛の嬉しそうな顔が、私はとても哀しかった。

この数か月前から、自己愛が暴言を吐いていたのは私だけではなく、同業他社の営業にまで及んでいたらしいのです。要約すると、ただ「構って欲しい」というだけなのですが。

中にはこのままの状態が続くなら、関係を改めることを検討しているという方もおられました。当然です。しかし暫く様子を見るということで、自己愛を立てる方向で纏まったようでした。

私は自己愛とその人達の間に無理に割り入ったのではありません。元々は上手くいってなかったのです。それを長年掛けて、やっとここまで良い関係を築くことができるようになったのに。

そして決して私個人の感情ではありません。会社のためだけだった。私は仕事先での人間関係に執着しないのですから。

裏ではそんな事態になっており腫物を触るように扱われているのに、嬉々としている自己愛を哀れだと思ってしまった。一昔前はこんなに余裕のない人ではなかったのに。

 

自分が積み上げてきたものが目の前で壊れていく。私は何度こんな経験をしただろうか。

色々な喪失感がそうさせたのかも知れないけれど、不思議と何も思わなかった。それよりも自己愛の焦りを見て、次第に心の中で高笑いをするようになっていった。