あの子への思い

兄弟への怒りや憎しみがあったのは自覚していた。けれどそれより母への思いが強く、どこかで兄弟も私と同じ被害者だと認識していたように思う。

今更だけどインナーチャイルドとは「内なる子供」で、自分の心の中にいる、子供の頃の自分です。元々の自分とも言えるかも知れません。子供の頃に受けた心の傷はインナーチャイルドが抱えてくれています。

私が自分の中にそういう存在がある事を知ったのは数年前で、AC克服の鍵を握っているのはその子だと思い、出会う方法を探りました。

はっきりと覚えていないけれど、自分では会えたと思う感覚があって、この子を育て直そうと思った。だけどそれからはその子の事をすっかり忘れていたから、ただの気のせいで思い込みだったんでしょう。

この間私が見たのは自分の記憶よりもっと前、怒りを持つ前の子供だった。たた純粋に兄弟が好きで後をついてまわっていた子供は、邪険にされて殴られてうずくまって泣いていた。怒りでも辛さでもなく、ただ悲しかったんだ。

そして今の私は悲しさと怒りで泣いていた。できることなら過去に戻り、奪い去りたいと思った。その人はあなたが思っているような人間ではない、もうそんな人に縋り付かなくていいんだと言いたかった。

兄弟の心の淋しさなんて知ったことではないのです。まともな人間なら話は別だけれど、無抵抗な子供に八つ当たりするような人間の心を推し量る必要なんてなかったのに。

私はその子の悲しみをなかった事にして、受け入れられる為だけに無駄に尽くし、我慢することを強いたんだと思いました。全ての責任は自分にあった。

ここに至るまでの過程として過去の話を書いているけれど、私はもうお金に対する全ての気持ちが変わっています。欲しい物を買ってもらえなかった淋しさやお金に持っていたネガティブな感情もありません。

そして今もあの子はいる。私はしばらくこの子を幸せにする事だけを考えようと思っています。