ジュエリーを買って浮かれているというのもあるんだろうけど、あの子に会ってから少し世界が変わったような気がする。
幼い頃に欲しい物を買って貰えなかったことを私はずっと根に持っていた。しかし経済的な理由だけならここまで引き摺っていなかったと思う。私は自分だけ買って貰えなかったこと、自分だけ見返りを求められたことが納得できなかった。
その思いを「昇華しなければ」とずっと思っていましたが、あの子を見ていてふと冷静になりました。そもそも私の家はそんなに貧しかったのか?貧しかったのは事実だけれど、兄弟に掛けたお金はどこから出てきたんだろうという疑問。
兄弟に買った物は確か30万円近くだったと思うから、今なら45万位になるのか。とにかくそれだけのお金を捻出できたのは間違いありません。使わないとわかっていて、そんな大金を投資したんだ。本当に馬鹿なんだな。
私は母親の「お金がない」という言葉だけを真に受けて、自分が何とかしなければいけないと本気で考えていた。その結果、過去の満たされない思いを抱えたまま今に至り、つい最近まで全く考え付きもしなかった。
今更だけど私は舐められていただけです。それに気付いてすごく冷めたし新たな怒りが湧いてきた。ただ以前と違うのは私自身が過去の出来事に怒っているというより、あの子に対しての行為が許せないのです。今の自分と過去の自分が分離している。
そうなった事で私は「自分だけが幸せになってはいけない」という呪縛から少し解放された。家庭にお金の問題があったのは私の責任じゃない。強欲な兄弟と無計画な母親の責任だ。
本当はどこかで親の面倒を見ないことに罪悪感を感じていたのかも知れない。おそらく金銭的にも楽ではないだろうから、自分だけが楽しむことを自分に許せていなかったんだと思う。
だけどそれも終わりです。私はあの子を誰にも渡さない。あの子を傷付ける人の元へは行かせないし、どんなことからも守ってみせる。私は「あなたを幸せにする」とあの子に約束したんだ。