愛を引き継ぐ

大切な友人がこの世からいなくなってしまった。

私が初めてはっきりと人の死に直面したのは15歳の時でした。バイクの事故で友人が亡くなくなったのです。2日前は電話の向こうで歌を歌っていたのに。

それから20代の前半までに、突然人が亡くなるという場面を何度も見てきました。人間は本当にあっさりといなくなるんだと痛感し、いつからか私は無自覚に人の死を意識するようになりました。

今日笑顔で「また明日」と言って別れた人に、明日も会える保証なんてこの世にはない。頭で考えているわけではなく、常に死は近くにあるのだと思いながら生きている。

 

命には限りがあるとわかっているから、これまでは少し冷めた見方をしていた。なのに体の震えが止まらなかった。

彼女は太陽のような人でした。太陽は当たり前にそこにあって人を暖かくし、恵みをもたらしてくれる。自己主張は強くないけれど、彼女の笑顔がどれほどの人を幸せにしているか計り知れない。

作った笑顔や人の為の笑顔じゃなく、いつも笑っていられる人は本当はとても強いんだと思う。心に愛が溢れているのだ。そんな風に思い始めた矢先の事でした。

 

私は初めて会社で泣いた。会社でというより他人の前で泣いたのはいつ以来だろう。心を開き、共に自己愛と戦っているうちに私たちは”仲間”になっていた。その仲間に随分と助けられ、救われたのです。

 

私のなりたかった”普通の人”は、人を失うことがこんなにも怖くて辛いなら、以前のように鈍感だった方がマシだと思った。しかし、それを癒してくれるのも人なんだと思い知った。

 

私は彼女から貰った、いっぱいの笑顔を誰かに引き継ぐことができたらいいな、と思っています。