変わらない人

人は変わる。が私の場合、変わる時は必ずといっていいほど抵抗にあいます。他人に非難されたり、心に寄り添うふりを装って変化を阻止したりと、まぁ様々だけども。とはいえ全員がそうなるかと言えばそうでもなくて、自身が変わる側の人は他人が変わっていく様をそっと見ている。抵抗するのはいつだって「変わらない」側の人です。

忙しさにかまけてお肌のことなどすっかり忘れていたのですが、その後も順調に綺麗になっている模様。先日は驚くことに共依存者からもお褒めの言葉を頂戴した。「羨ましい」と言うので、会社を休んでエステへ行くようにおススメしておきましたよ。まさか共依存者と女子トークをする日がくるとは。

私は綺麗になること、いや幸せを感じること全てにとても抵抗を感じていた。それは「変わらない人」が恐かったからだ。人間にはホメオスタシスという現状維持機能が付いているらしいから、周囲の変化に敏感で変化を阻止しようとするのは性格の問題だけではないと考えているし、仕方のないことなのかも知れないとも思っている。

しかし「変わらない人」を作り出したのも自分なのです。怖いからこそ、ついそこに目を向けてしまい、目の前に立ちはだかる大きな壁に見えていただけだ。今私のアンテナは「変わる人」を探し続けている。

脅威を感じていた「変わらない人」代表のような共依存者ですら、本当は「変わる」種を持っていたのだ。私は「いまここ」にいる彼女を見ている。長年悩まされた相手ではあったけれど、赦すというようなものではなく、良い方へ「変わる」ことを選択した彼女をわざわざ戻す必要はないと思っています。

 

私は相変わらず人を褒め続けており、すっかり褒め言葉がサラサラと出てくるようになった。その効果は女性の方が高いように思う。長い間口紅を塗っていない女性に「とても似合っていた」と言うと、次に会った時はちゃんと口紅を付けて綺麗になっていたりする。

最近気になる女性は行きつけのコンビニにいる若い女の子です。年齢はよくわからないけど推定20歳そこそこくらい。彼女が入ってきてから多分1年以上にはなると思うのですが、笑顔を見せない能面のような表情をした女の子だった。そして絶対に視線を合わせない。

仕事はちゃんとしているからそれでも問題ないといえばないが、愛想のいい店員さんばかり、しかも定着率が良いそのお店では若干浮いた感じは否めなかった。私のタバコの銘柄を覚えてくれていて、店に入るなりサッと出してくれる店員さんを、彼女は横から「なにやってんの」とでも言いたげな目で見ているような冷めた感じだったから。

そんな彼女に何が起こったのか、数か月前からぎこちない笑顔を見せるようになり、一瞬だけだけど目を合わせるようになりました。本当に興味があるわけではなさそうですが、ちょいちょい雑談?というのか情報を織り交ぜた会話を交わすようになった。それがマニュアルであっても本心からでなくても、彼女は変わろうと努力している。

「もしかして人間不信ですか?」と疑いたくなるほどの女の子が必死で頑張っている姿を馬鹿にする人間はクズだ。そりゃ無言でやることだけやってる方が楽に決まってる。それでも+αのサービスを提供しようとする店員さんに対して、敬意と感謝の意を表すのは客の務めだと私は思っています。

最近の彼女は私の顔を見るなり、笑顔で隣のレジからすっ飛んでくるようになりました。他の店員さんも圧倒されつつ温かく見守っている。世の中は冷たい人間ばかりじゃないよ。しかし受け入れようとしない人間にいつまでも構っていられないのも事実。彼女は勇気を出して自分を変えたから世界が変わったのだ。

 

変わるのも変わらないのも自由。変わらないのも「変わらない」と決めつけるのも勝手だが、変わろうと努力する人の足を引っ張るような真似をするんじゃねぇ、と声を大にして言いたい。「自分だけが変わらないのは嫌」という身勝手な思考の持ち主は、実際のところ害でしかないのです。いくらいい人に見えてもね。