Iさんの話22~魂の年齢~

Iさんが長期出張に行ってしまうまで、1度しか会えないまま暫くのお別れになりました。

最後の日はいつもより長くお話をしていたのですが、私とIさんはずっと見つめ合っていた。普段なら他人と視線を合わせ続けると落ち着かないのだけれど、私はいつも彼の目を見てしまうのです。

好きだから見ているというより、目が離せなくなってしまう。そして後になって、私は彼の目の奥を見ていたんだと気付いた。

 

Iさんの目を見ているだけで浄化されるように感じる。何かに例えるなら、滝壺や厳かな神社に行った時に良い意味で背中がゾクゾクしたり、綺麗なエネルギーが頭から足元まで抜けていく感覚。

”Iさんの話13”でも書きましたが、Iさんは魂の年齢がとても高いのだと確信しました。私はIさんと会う度に、見えない薄いベールをかぶせてもらうような気持ちになる。

 

私はIさんに初めて会った日、本当は違う所に行くはずだった。それが突然のトラブルによって急遽変更になったから出逢えた。そして当時の私は、今と同じ場所に住み同じ職場で働いていたのに、毎日とりとめのない愚痴を独りで垂れ流すためだけに生きていたんだ。

いつからか親や過去への思いを昇華し、人の幸せを願えるようになり(自己愛は除く)仲間と呼べる人も出来た。私は母の影響で女性が苦手だったのですが、とても楽しいと思えるようになった。多くの人から笑顔を向けられる。こんな日々は私の人生の予定にはなかったのです。

 

ここまで引き上げてくれたのはIさんで、私にとっては、ある意味で初恋なのです。最後に初めて見せてくれた素の笑顔はとても素敵でした。