Iさんの話18~私が欲しかったもの~

こうして書き起こしてみると、たったのひと月で随分変わったんだと改めて思います。その変化はIさんに出会って11か月が過ぎた頃から更に加速していきました。

その頃、私はIさんに会いたくて会いたくて仕方がなかった。Iさんの事を考えるだけで嬉しかったり胸が熱くなったり、時に切なくなってしまう。そして、その他のことに関する興味を失くしてしまった。

 

私は潜在意識を活かすためにトラウマと決別する必要があると思っていました。なぜ潜在意識を活かしたかったのかというと欲しい物が沢山あったから。

自分に嘘を付いていると本当の願望を見失ってしまう。自己否定からは何も生まれないと痛感したので、まず根本的な問題を解決しなければいけないと考えたのです。

それなのに潜在意識を使って手に入れたかったものが色褪せてしまいました。好きだったネットショッピングもしなくなり、以前からしていた投資にも関心が薄れていったのです。もう他人からの評価も世間のしがらみも何も要らない。

 

その替わりに得たものは心の平穏です。精神的な部分では、もう誰にも何にも頼らなくても生きていける。Iさんが笑っていてくれればそれでいい。

私は今まで誰かの笑顔を見たいと思ったことがありませんでした。だから、今までの恋人から「笑って」と言われると、楽しくもないのに笑わなければいけないことに理不尽ささえ覚えていた。感情を強要されるような気分になってしまっていたのです。

Iさんが自分に笑顔を向けてくれるのも嬉しいけれど、それ以上にIさんが幸せならもっと嬉しい。たとえその相手が私でなくても。

 

私はただ純粋に誰かを愛せる人になりたかったんだ。