Iさんの話29~進化~

少し前、Iさんに会いました。

しばらく会わない間に彼は進化していた。私が出会った時より遥かに仕事量は増え、それらを淡々とこなしていく。Iさんは仕事をこなしつつお勉強もしなければいけない。きっと多忙すぎるのだろう、その顔には余裕がなかった。

合間に笑ってはくれるのだけど目は笑っていない。今のIさんにそんなことを求めてはいけないとわかっている。でも私はIさんの笑顔に惹かれたから、ここまで来ることができたのに。この世界で一番笑っていて欲しい人はIさんなのに。うまくいかないなぁ。

人はいつから笑わなくなるんだろうと少し悲しくなりました。そして新入り君がIさんと同じ顔で笑うのを見て切なくもなりました。もうIさんの純粋な笑顔を見ることはできないんだろうかと数日の間落ち込んでいた。

寂しいけれど人は変わる。それを止める権利は誰にもない。変わっていくIさんを見ていることしかできないのだから。

そんなふうに暫く感傷に浸っていましたが、やっぱりIさんは素敵な人だと思うようになりました。彼は常に前しか見ていないし、いらない物をあっさり捨てて切り替えて行ける人なんだろうと。とても格好いいです。

私は以前の会社にいる時、飛ばし過ぎだと言われたことがあります。仕事が出来ない上司に、「即戦力且つ、短期間で成果を上げる人を会社は求めていないんだ」とも言われました。では何を求めていたのか今でもわかりません。

しかし周囲と軋轢が生まれたのは確かなので、そういう考え方もあるのかと思い今に至っている。でもIさんを見て羨ましくなってしまいました。

着々と堅実に大きくなっている今の会社を見ていると、これが正解なのかも知れない。だけどこんなことでパワハラを受けた自分が情けなくなる。全てが下らなく思えて仕方がないのです。

私も変わらないといけないな。