Iさんの話25~人を想う気持ち~

藪から棒ですが、誰かを想う気持ちはとても大きいと改めて思います。

昔の恋人とは話す度に食事に行く口約束をする。前回も食事に誘われて快諾したら、いきなり「恋人いないの?」と聞かれました。

その時、私の頭に浮かんだのはIさんで、もし彼が恋人だったら行かないと思った事が口に出てしまい、「いたら行かないでしょ」と答えると、暫くの間を置いて「俺と居た時はそんな事言わなかったのにね」と笑っていた。

当時の私は恋人がいても男友達と二人で飲みに行く事も多く、その件でよく喧嘩をした記憶があります。私は恋人以外の前で記憶をなくすほど気を許した事もないし、信用できる相手だから浮気ではない。疑う方がおかしいと主張し、止める恋人を振り切ってまで出掛けていたくらいだから驚いたのだと思う。

 

以前Iさんの所で男性に話し掛けられた事がありました。他愛もない内容だったと思うけれど、その男性の肩越しにIさんを見つけて、私は逃げるようにその場から立ち去ってしまった。

客商売なので異性には慣れているし意識するような年でもないのに、どうしてそんな行動をとってしまったのかと自分でも驚いた。Iさんと話しながらその理由を考えていたら、私は他の誰かに笑顔を向けたIさんを見た事がないからだと気付きました。

それと自分の行動がどう繋がったのかよくわからないけれど、私はとっさにIさんを傷付けたくないと思ったのだと思う。そもそも傷付かないと思うし、ただの自意識過剰だったとしても。とにかくIさんを不快にさせたくないのです。

Iさんとの関係はさておいて、私は誰かにこんな気持ちを持ったことがありません。「相手が望んでいるから」ではなく自分がそうしたい。大切な誰かの為なら自分を変える事だって「自分を犠牲にした」とは感じないと思う。

 

今「あたし おかあさんだから」の歌詞が炎上しているらしいですが、例え好きな事を全部捨てたっていいと思えるほど、かけがえのない「あなた」に出逢えた事が嬉しい。

自分よりも「あなた」を大切にしている今の自分が大好きだと、あの人は言いたかったんじゃないかと思うのですけど違うんだろうか。