Iさんの話25~依存~

自分の軸で生きるという事を考えていた時、思い浮かぶのはIさんしかいなかった。おおよその人がそうして生きているんだろうけど私にとって彼は際立っている。

Iさんは基本的に無表情だからか、人を迂闊に近寄らせない雰囲気を持っています。そして彼の中に他人は存在していないように見える時がある。とても優しいけれど、きっと彼は自分に依存される事を許さないでしょう。

 

私も依存されるのが本当は嫌で仕方なかった。親の感情の面倒を見るのも、家族の犠牲になるのも。

他人が幸せになったからといって自分が不幸になるわけではないという私の考え方は悪であり、家族に受け入れられることはないまま踏み潰された。だから偽善者の仮面を付けて親を助け、同情することで生きてきました。

内心では、自力で立てない癖に偉そうに説教する親を馬鹿にしていたし、尊敬の念など微塵も湧いてくるはずもなく。

その気持ちを持ち続けて、自立と共に親を見切るべきだったと一人反省会をしてみた。私は変に情けを掛けてしまったがばかりに自分の首を絞め、母に対して憧れのような気持ちを持ってしまったのかも知れない。

都合の悪いことは全部他人の責任で、人に面倒を見てもらい、それでも満たされることはなく自分が一番不幸だと声高に訴えて要求するだけの人生。そんな風に生きれたらどんなに楽だろう。その思いが私の依存に繋がったのかもと考えています。

しかし依存していた時、幸せだったかというと寧ろ苦しかった。迷惑を掛けておきながら苦しいとか過去の自分をぶん殴りたいけど。

依存は愛とは程遠い。相手に人生を託すのとは全く違う、何の覚悟もないただの丸投げです。

自分で立てない人間は本当に人を愛することはできない。依存するのはもちろん依存される人生からもさっさと手を引かなければいけないと強く思っている。

私はIさんの見ている世界を見たい。