母を捨てた理由

今の会社の共依存者については、ほぼ仕事の事にしか触れていないと思う。 ですが彼女は性格や行動、考え方に至るまで驚くほど母に酷似しています。あまりにも似すぎているのとキャラが立ちすぎるせいで書けなかった。

 

他の社員は口を揃えて彼女を「不幸の塊のような人」と形容する。彼女自身は決して不幸な境遇とは言えず、どちらかと言えば恵まれています。しかしどういうわけか世界で一番不幸であり、関わる人を不幸にする。

人間の持つ醜い部分を全て兼ね備えていると言えばわかりやすいかも知れません。どう贔屓目に見てもいい所が見つからない。存在しているだけで不愉快なのです。

普通の人は彼女を到底理解できないし、とにかく関わりたくないと言う。これまでも他の社員から愚痴を聞く度に母を重ねて共感していたのですが、家事の件があってから違和感を感じるようになりました。

彼女は、社会経験が豊かな人にも「これまで出会ったことがない種類の人」だと言われ、いとも簡単に大の大人を病ませてしまうほどの破壊力がある。母はお勤めした事がないけれど、もし社会に出たら間違いなく彼女と同じ事を言われるだろう。

やはり母はおかしい、と改めて確信しました。

普通の人なら耐えられないんじゃないか。だとしたら幼かった私が母を受け入れられないのは当然で、捨てられても仕方がない存在なのだと認めることができた。私は間違っていない。

 

そんな事を考えていると、何もかもが馬鹿馬鹿しくなってしまった。私は母に幸せになって欲しかったと書いたけれど、母という人間に対してではありません。血の繋がりがある母という存在の人への思いです。

母という人間を憎みながら、母という存在の人間を捨てきれなかったから苦しかったのだと思う。

私はずっと「母を捨ててもいい」と思える理由をどこかで探していたのかも知れません。