Iさんの話35~安心感~

引き寄せは通信販売に例えられる。発注すれば間違いなく届くのですが、「まだ来てないな、いつ来るのかな」と疑ったり不安になったりすれば持って帰られてしまうと。この状態を意図の取り下げと言うこともあります。

取り下げた時点でキャンセル扱いになり、再び願っては再配達中にまた取り下げて(以下ループ)。だからいつまで待っても届かないということになるのだという。私は知識としてはわかっていたつもりなのだけど、ここの所を全く理解できていなかったのです。

だって通販は今届いていなくても、(特殊なケースを除いて)発送の予定が立っているから。しかし引き寄せはいつ来るかわからないし、当然発送の連絡もこないので「そろそろくるか?」というフラグに一喜一憂してしまう。願いが強ければ強いほど無心ではいられない。

ただ今回の大きな買い物は、現物はもちろん写真もデータすらもまだ見ていない。お金も払っていないので、正確には現時点で私のものではないということになる。更に会えるのは来月の後半ぐらいになるかも知れないけれど、間違いなくそれはもう「私のもの」だ。

何となく、本当に何となくだけど「既に持っている安心感」がわかったような気がした。

 

私は自分でも気づかない内にIさんに多くを望みすぎたのかも知れない。彼が笑っていてくれるだけで良かったのに、優しさに甘えて欲が出てしまったのかな。私自身も特にここ1年、心の変化が大きすぎて余裕がなかったというのもあります。

昔の恋人への自分の態度や今の自分の気持ちを考えて、私に出来るのは「自分が変わること」しかないと思いました。今、彼がどんな心境なのか、どんな変化があったのかを私が考えたところでただの憶測でしかありませんから。

それに私は今、彼がいなくても楽しく生きている。というか最初から私のものではないのだから、失うことを怖れる必要なんてないのです。だから彼といられる僅かな時間を無駄にしたくない。いい年をして意地を張っている場合ではないんだ。 

先日Iさんといる間、ただ安心して「あなたが大切で、あなたといる時間が幸せだ」と思っていた。態度にも、妙な好き好き光線も出していないつもりだけど、彼は出逢った頃のように優しかった。そして目の奥が笑っていた。…先に笑わなくなったのは私の方だったんだと気付きました。我ながらアホすぎる(殴)

そしてもう1つ気付いたこと。彼の周りには若くて素敵な女性が多いのですが、私は彼女達と彼の関係を疑ったことがありません。年齢的にも彼には彼女達の方がお似合いだと思ってはいるけれど、そういう意味で不安を覚えたことがない。

私はそれについて、自分と彼とが現実的に恋愛関係にならないと思っているから心配しないのだと思っていた。精神的に大人になったからだと、おこがましくもそういう気持ちもありました。

けれど違った。もし彼が誰にでも優しい人なら、勝手に不安になって嫉妬に駆られても全く不思議ではないのです。だけど彼は私以外の女性には平等に一定の態度を保っていて、むしろ冷たさすら感じる時もある。

この態度が人としていいかどうかはわからないし賛否両論があると思う。私も色々と疑問や思う所はあるけれど、それはさておき、彼のお蔭で不安にならないのは事実で、私は彼に安心させてもらっていたんだ。彼の目が笑っていなくても、それだけはずっと変わらなかったのに。

なのに私ときたら…