Iさんの話42~岐れ道~

昨日は久しぶりに何もしない1日を過ごし、色んな事を考えていた。

この3か月弱で私が人との関わり方が変わったのはもう書いていますが、その変化は社内でも起きていた。私の会社は営業と業務に分かれており、元々互いの仲は良くありませんでした。どっちもが「自分たちの方が大変だ」と主張をすればそうなるのは当たり前だけど。

私は会社に入ってからこれまで、業務の方と理解をしあおうと努めてきた。いつかきっとわかってくれる、と信じていたからだ。心無い言葉や態度にも負けず、ただそうした方が仕事が円滑に廻ると思う一心で耐えてきた。だけどそれって誰の為なんだろうって思い始めてしまいまして。

自己愛と業務の板挟みになった時もありました。それがきっかけでパワハラへと発展したのですが、どうして私はそこまでする必要があったのかな。命令されたのでもなく自分の意志でそうしたのだから過去はいいのだけど、もう私の役目じゃないような気がしてきた。

こうした思いがあり、私は波動を上げる事をやめたのです。とはいえ機嫌が悪いのでもなく普通に接してはいますが、ただ道化役をやめただけ。自分が楽しくないからしないという理由。私は他人の機嫌を取るために生まれてきたわけではありませんから。

心から笑えなかった私がIさんに出会って、今では「笑った顔が見たい」と言われるまでになった。これは私の努力の結果であり、その力を自分と自分を大切にしてくれる人の為に使いたい。信念であった『和』とは逆行している気がしないでもないが、今はこれでいいのだと思っている。

それでもまだ多少は不安があったものの、習い事に行こうと思い立った辺りからこの気持ちは加速した。私はもう誰の機嫌も取らないし誰にも媚びない。当然それが気に入らない人物もいるだろうけども、嫌なら関わって来なければいいのだ。

 

私がIさんに冷めたと感じたのは、この心境の変化が原因かも知れないと考えています。これまでIさんの笑顔に救われ、それだけが支えだったと言えなくもない。だけど彼の笑顔すら私に影響を与えなくなってきている。そして彼と話をしながら、以前のように笑えない自分をはっきりと感じていた。

少し前までの自分と新しい自分の狭間にいるようで、終始どうするべきか考えていたような気がします。もしも彼が以前の私に好意を持っていてくれていたのだとしたら、それすらも失う可能性がある。

けれど変わってしまった私が以前のように振る舞わなければならないなら、これまでの人生と同じではないのか。誰かに受け入れられる為に演技をし、自分を偽り続ける人生。Iさんに出会えたからここまで来れたのに、彼の存在が私を岐路に立たせるとは思いもよらなかった。

のらりくらりと曖昧にすることも出来ますが、それでは目まぐるしく変わる思考についていけないのです。私は大切な物を無くしてしまうのかも知れない。でも私の心は「前へ進め」と訴えてくる。

かの、自作自演の願望実現ゲームという名言を書いた方は、こうも仰っておられる。『結局、大事なものなんて何一つ作らないのが、心からの平穏を得るためには一番の近道なんだよ』と。私はいつかそこへ辿り着けるだろうか。