Iさんの話27~気持ちの変化~

私はIさんに会える事をずっと楽しみに待っていました。だけど当日の朝になって突然楽しみではなくなってしまったのです。どういうわけか面倒くさいとまで思ってしまいました。

そしてIさんと会ったのですが、彼もまた変わっていました。あのはにかんだような心からの笑顔は消えていた。かろうじて作ったような笑顔はしていたけれど。

淡々と事務的に会話をしただけで久々の再会はあっけなく終わってしまった。だけど不思議と何も感じなかったことに自分が一番驚いていました。Iさんへの思いはどこへいってしまったんだろう。

けっこう多いと言われる「約束の日が近づくと憂鬱になる症候群」なのか、それともあっさりと冷めてしまったのか。

考えた結果、今は他人の事を考えている場合じゃないんだろうという結論に至りました。まだ心の奥に引っかかっているものがある。この頃、誰へ向かうでもない怒りと苛立ちと焦りで頭がいっぱいだったのです。

 

あの子に会ったのはIさんと会った数日後の事でした。そういうタイミングなのかどうかはわからないけど、Iさんと会う度に大きな変化が訪れるような気がする。

ツインレイは追う側と追われる側に役割が分かれると言われています。逃げられた方が逃げた方が追う。それには「相手を自分のものにしたい」というエゴを超えたレベルで人を愛せるためのプロセスが必要だから、という理由があるそうです。

私とIさんは追われても追ってもいない。だとすると私達はツインレイではないという事なのかな。

ただ、なぜこのタイミングであの子と会えたのかという事について少し思うこと。依存とまではいかないけれど、私はIさんに会うことだけが心の支えになっていた。けれど私はIさんに会った日、自分以外の他人を支えにしなくなったのです。

誰かに支えられなければ立てない人をあの子は頼りにしただろうか。自分すらも支えられないような人に救いを求めただろうかという疑問を拭い切れない。今の自分だから現れてくれたのだと思えて仕方がありません。

私はIさんと会わなければあの子には出会えなかったと思っている。あの日以来Iさんの事を思い出す時間はほぼなくなったまま今に至っていますが、どうも冷めたようではなさそうです。

思い方が変わったというのか、異性としての愛情を超越していると言えばいいのか、今までにない感情なので上手く説明ができませんが。