認める

私はIさんと出逢うまで、よく潜在意識系の板を見ていました。いつからか潜在意識と自愛はセットになって「願望達成よりまず自愛」という流れになっていったような記憶があります。

自愛とはそのまま「自分を愛する」という意味ですが、多くの人がここで躓いていたように思う。顕在意識で頑張ってもどうにもならなくて潜在意識に辿り着いた人は、元々自己肯定感が低くて自分を愛せないからです。

苦しみの渦中にいる人には「そのままでいい」「あなただから価値がある」といった言葉は腑に落ちないし愛し方がわからない。そうして今度は自愛をできないことで自分を責めて、潜在意識云々とはかけ離れて更なる悩みを生むようになります。

もちろん私もその中の一人で、いくら念仏のように唱えてみても「そのままでいい」という言葉が今の状態でいいと認識されたらどうしよう。自分に価値があるならどうして私はこんな扱いをされているんだろう。そんな考えが浮かんで心が拒否してしまっていた。

現在はその頃よりもっと自分を愛することについての関心が高まっているようで、「自愛=インナーチャイルドを癒す」という記事も多く見られます。

今思えば私は大きな勘違いをしていた。「そのままでいい」は今の自分じゃなくて、まだ真っ白だった自分に対してかけた方が良かったと思います。「もう頑張らなくていいんだ」という思いはあの子に伝わり、今の私にも繋がっている。

けれど心の傷でいっぱいいっぱいの時は、その子を直視できなかったかも知れないとも思う。憎しみと怒りを抱いている誰かに「悲しい」という感情を抱いていることを認められなかったから。それは耐えがたい屈辱と敗北感を味わうことを意味するような気がしていました。

だから私はあの子にその言葉を言わせないよう我慢をさせてきたんだ。あの子が一番認めて欲しかった感情を私自身が無視して抑え付けてきたのです。

誰かの顔色を伺って、自分の気持ちを口に出せないことや隠さなければいけないのは辛い。私は自分がされて嫌だったことを何の疑問も持たずにあの子に強いた。これが無意識に起こる負の連鎖なんだろう。

 

ここまでくるのに長い時間がかかってしまったけれど、心に傷を持った誰もが必ずしもインナーチャイルドに会わなければダメということはないと私は考えています。

本当の気持ちに気付くこと。認めてあげること。それだけで良かったんだ。