好転

私は死にたいと思ったあの日、何かが底を打ったような気がする。徐々に気持ちが好転しているのだけど、なぜこうなったのか言葉で説明するのは難しい。

過去にも書いたと思いますが、私の母は平気で嘘を付く。自分さえ助かるのならば、子供すらどうなってもいいと思っている女です。そんな女を庇い、自分が悪者になって父に殴られた日の事は今でも鮮明に覚えている。

殴られる私を見ながら、手を顔の前で合わせてゴメンの形にしたまま泣いていた女と、女の一方的な言い分を鵜呑みにし、理由も聞かずに拳を上げ続けた男。私はまだ完全に昇華できたわけではなかったのだ。

私の怒りはどちらかというと女の方に向いていたのだけど、男も男で私の事を何一つ見ていないという悲しさを認められなかったんだと思う。

私は補導歴があるけれど、いつも迎えに来るのは男で、ある時「俺はお前を信じてる」と言った事があります。「お前はそんなに馬鹿じゃない」とも。何となく嬉しかったような気もするけれど、今となっては「寝言は寝てから言え」という気分だ。

 

Iさんは時々、お父さんのような感覚になる時があります。血の繋がった父ではなくて理想の父親みたいな。彼は他人の言葉より行動を見る人なので、あの女のような狡さは簡単に見抜けるはずだ。そして叱るにしろ、まず事の経緯と理由を聞くだろう。大人なら当たり前だけれど、出来ない人が人の親になっていたりするから不思議。

Iさんが私を庇ったのかどうか本当の所はわかりませんが、とにかくあの出来事は衝撃的だった。誰かに守られるってこんな気持ちなのかと思いました。産みの親にすら与えてもらえないまま、これまで生きてきた事にショックも受けたわけですが。

私は例え大嫌いな相手でも自分の罪をなすりつけようと考えた事はない。自分さえ罪に問われないのなら他の誰かを犠牲にしてもいいとは思えない。そうして生きてきた結果、損な役回りも多かったけれど、何だか少し報われたような気がしました。

そもそも損をしたのは相手を選ばなかった自分の責任で、これからはそういう生き方はしない。自分と大事な人を大切にすることだけを考えようと思っています。

Iさんがくれた愛は男女の愛よりも、もっともっと深い。