石の話~陰と陽~

私が心待ちにしている"愛を表現する石”は、愛する人を安心させるような言葉を贈り、行動でも愛を表現していくという意味を持っている。「していく」のだから、今はできない人、良いように言えばシャイだったり照れ屋という人や、悪く言えば不信感を抱きやすかったり疑心暗鬼になりがちな人にも向いているそうだ。

2本目に買ったリングに付いている石も愛する石ではあるのだけど、どちらかというと”自分を愛する石”である。自分の意思や能力に対する揺るぎない信頼を取り戻すとされている。愛を自分に向けることで、自然と他者を愛せるようになる。その結果ありのままの自分で愛される、というものです。前者はアウト、後者はインという感じか。

この後者の石が採れる鉱山は既に閉鎖されているため、現在流通しているものしか手に入らない。ゆえに希少価値が馬鹿高い上、元々サイズが小さいせいもあって、質や大きさによってはダイヤよりも遥かに高値で取引されている。なので悲しいかな、私の手の届く範囲の石はとても少ないのです。

私が最初に買うつもりだったリングの石はインクルージョンが多く、決して綺麗とは言い難いものでした。偶然見つけたもう一つのリングの石は、色味が落ちるものの透明度は高かった。けれど未使用とはいえ中古扱いの品でした。貴金属に関しては中古を買わない主義なのでそれだけがネックだったのです。

でも、この石を買わなければ私は後悔するかもしれない。そんな気もしたのでついついポチってしまったのですが、2本のリングはデザインがとても似ている。”愛を表現する石”が手に入らなかった時を想定して、似たようなものを潜在的に選んだ可能性が高いのだけど。

嬉しそうにそれぞれのキャプチャを並べてみると、石のカットと配置が同じで脇石の付け方も似ている。前者が金で可愛いイメージ、後者がプラチナでクールなイメージという反対の性質を持つ一対のものであるかのように見えるのです。

私が後者の石をカートに入れてから決済が済むまで約20分程度、石待ちのお店から電話が入ったのは約10分後。あの時、あと30分ポチっとする時間がずれていたら、当初の理由である「石が見つからなかった場合の可能性」はなくなっていたのですが。それでも私は後者のリングを買ってたんじゃないかと思うんですよ。

『石が人を選ぶ』のと似ているのですが『石が石を呼ぶ』こともあると言います。2本並んだリングを見て、私は太極図が頭に浮かびました。

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陽極まれば陰に転じ、陰極まれば陽に転ずる。光があるから影があるように、愛するだけ・愛されるだけはよろしくないのだ。宇宙の万物は全て陰と陽でできている。表裏一体の真ん中、中庸をとる必要があると最近強く感じている私は、出会うべくして2つの石に出会ったことにしておきたい。

元々、前者の石を買おうとしなければ、もしくは早々に手に入れていたなら後者の石に出会うことはなかったと思うので。でも先に手に入れたのは後者の石。こういう場合、先に呼んだのはどっちなんだろうな。