ズルい人

私は今まで彼女の何を見ていたんだろう。確かにおかしな所は沢山ありました。しかし自己愛達と戦うのに必死で、大切なことがすっぽり抜けていたのだった。嘘にも色々ありましてね。人を傷つけないための嘘、誰かを守るための嘘、そして自分を守るための嘘、誰かを欺くための嘘。昨夜はそんなことを考えながら寝ました。

多分、私は彼女が「ズルい人」だったことにショックを受けたのだと思います。見る目がなかった、というより見ないようにしてきた自分のせい。でもね、「ズルい人」って強いんです。ある意味でポテンシャルが高いのだ。朝起きて『内なる存在』がそう教えてくれた時、体中に安堵感が広がっていくのがわかりました。

不幸を背負ったように見える彼女は決して弱くない。とても強くて逞しい女性である。だから本当はどんなことでも乗り越えられるはずだし、他人の力なんて借りなくても生きていける人なのです。私の力なんて到底及ばないのだ。私ごときが彼女を「守ってきた」なんて思うのは驕りでしかない。私は盛大な勘違いをしていた。

 

私は彼女と違って弱い人間だから、1人では生きていけません。呼吸をする、寝る、食べる、自分の食い扶持を稼ぐのが生きるということなら、私だって1人で生きていけます。「寂しい」という感情を持ったことがない私は孤独に強いのだろうから。でも、「自分を生きる」には1人じゃ無理なんですよ。

弱いフリをして他人から色んなものを奪おうとする人も強いんです。騙せているうちはいいけれど、バレた時は徹底的に嫌われます。「顔も見たくない」ってレベルで嫌われます。私は弱い人間だから、そんなの耐えられません。私は弱くて自分が大好きな人間なので、好きな人から優しい目を向けられる人でありたいです。

 

今朝、ここまで書いて家を出ました。彼女は私の異変に気が付いている。機嫌を伺うような上目遣いをしながら必死に話題を探す彼女を見ても、もう何の感情も湧かなかった。案ずるな。あなたは強いから大丈夫だ。

自分の撒いた種は自分で刈り取る。逃げるも越えるも自己責任。