幻滅

つくづく私は所謂「ダメな人」に憧れていたんだなぁと思う。私が関わってきた「ダメな人」は呆れられたり諦められたりはしているけど、本当に捨てられたのを見たことがない。絶対に1人では生きていけないオーラが出ているからだろうか。おんぶに抱っこで好き放題に生きておいて、それでも足りないと駄々をこねて許されるって羨ましすぎるでしょ。

私だって駄目人間なのに、どういうわけか「ダメな人」のお世話をせにゃならん人生に心底うんざりしていた。私だって駄目なんだよ、いっぱいいっぱいなんだよ。頑張ってはいるけど「ダメな人」の何もかもを抱えられるほど強くないんだよ。誰か一人でいいからわかって欲しい、とそう願っていた。

だけどそれは叶わなかったし、これからも叶わないだろう。頭ではわかっていても、潜在意識は絶対に忘れさせてくれない。ふとした瞬間に叶わなかった願いが顔を出し、試しているわけではないけど無意識にダメな自分を演じてしまっていた。今考えると、「私もダメな人だからこれ以上は背負わせないでください」という無言の抵抗でもあったのだと思う。

先日起きた共依存者のミスは私の心を限界まで冷めさせた。故意だとすれば心が貧しすぎて可哀想に思えるほどだし、理解できていなかったとしても「理解できない」事が私には理解できないという、あり得ない出来事だったのでした。まず驚きがきて怒りが湧いてから最後は呆れた。もう同じ種族だと思えない。

本人は最初から気にしていないので涼しい顔をしているし、既に解決済みだからそれについては今更とやかく言うことではないだろう。あれから1週間以上が過ぎたけど、私は彼女との接触は最低限にして目を合わせることもほとんどありません。仕事の出来不出来はどうでもいいけど、人に迷惑を掛けている自覚がないところが受け入れられない。

私は今まで彼女のような人に色んな感情を持ったけど、こんなに軽蔑したのは初めてだったかも知れません。これまでもあっただろうが、羨ましさや理不尽さ、わかってもらえない悲しさとかの方が上回っていたせいで相対的に弱かったんだと思う。しかし期せずして、この出来事が私の意識を大きく変えるきっかけになった。

私は仕事で普通の人から軽蔑された記憶がない。今私が彼女に向けている視線を向けられたらきっと耐えられないと思う。他人からの評価なんて望んでないけど、人に迷惑をかけておいて平気な顔をしてられるほどの神経は持ち合わせてませんので。普通の人に軽蔑されるくらいなら理不尽の方がまだマシだ、そう考えるようになったのです。(マシなだけで受け入れる気はないけど)

そして微かに残っていた「ダメな人」への未練はきれいさっぱり無くなりました。私は好きでもない誰かを無償の愛で包んであげられるほど強くない。だから仕事の尻拭いはまだしも精神的なフォローまでは出来ません。だって私にはそんな能力がないから。「人の気持ちがわからない」と責めるなら、そういう「何か」だと思って諦めて下さい。

強い私がいなくなると同時に弱い私も消えた。”頑張っている私”がいないのだから、「わかって欲しい」とは思えないのです。だからもうダメな自分を演じなくていいんだ。私が駄目なのは認めてるし、普通の人が駄目だと言うのなら全力で直す努力はする所存。受け入れられたいからじゃなくて、自分を好きでいたいからね。

完全に焦点が真逆になった。 

 

私何やってたんだろう。タイトルの幻滅は彼女に対しての気持ちではありません。文字通り幻想から覚めたような気がしたからこれにしました。