現と幻

以前何度か書いた友達(みたいな女性)は、もう友達と呼んでいいのかも知れない。なにがどうなったら『友達』なのか、未だにわからんけど。

今日その友達から電話があり、「ワタシ、そっちの世界に突入するかも」というご報告を受けた。そっちってなんだよ笑 なんでも、レイキヒーラーになるんだとか。さっきお試し体験をしてきて決めたのだという。

私は既にアチューンメントを受けただけの似非レイキヒーラーであると伝えたはずだが、「レイキって知ってる?」とやや興奮気味に聞いたきたところを見ると、私と交わした話は覚えていない模様。

レイキについてなんだかんだ話しているうち、「その時、もっと詳しく教えて欲しかったぁ」と冗談まじりに軽く叱責された。いやー…こういうのってタイミングなのよ。

その会話をした当時、彼女は様々なことから解放され、満ち足りていた時期だった。だから私の話も刺さらなかったし、「ワタシにもやってー」のお願いはおまじないか何かの類だと思ってるように見えた。だから、「人にはしない」と言って断ったのだ。

でも今の彼女には本当に必要なんだろうね。だから彼女は施術してもらうだけではなく、自らヒーラーになろうと決心したんだと思う。

 

私と彼女はどちらも運転中だった。私が1時間ほど前にいた場所の空には今にも豪雨が降りそうな真っ黒い雲が止まってて。ちょうどその東側を走っていた彼女は突然の大雨に声を上げ、「空は晴れてるのに!不思議!」と驚いていた。

関西圏では狐の嫁入りと呼ばれる吉兆。「あぁ。それ、良いジンクスだよ」なんてことを言いながら、私は社に戻るために西側の県境でUターンする。30分ほど高速を走ると私も狐の嫁入りに遭遇した。位置はちょうど、あの黒い雲の北側だ。

雨で声が聞きとりにくい中、レイキの話で盛り上がっていると「虹!」と再び彼女が大きな声を上げる。その瞬間途切れたトンネルの間から大きな虹が見えた。「虹を見たら感謝しとくといいよー」と笑うと、「あー…」と彼女の声は少し沈んだ。

最近「ありがとう」より「すみません」と言うことのほうが多いのだという。「感謝するようなことがほとんどなかったから」とも。だけど勘のいい彼女はそれだけで何かを悟ったようだった。

狐の嫁入りが吉兆といわれるのには、虹が出やすい環境が整うという理由もあったりするし、感謝するような出来事があったから感謝するのではなく、先に感謝をするから感謝するような出来事があったりするのだが。

科学的根拠とかメカニズムというのも大事だけど、敢えて言わないほうがいい時もあるのさ。

現と幻の間がちょうどいい。