Iさんの話10~自己愛と幸せ恐怖症~

Iさんと出会って9か月が過ぎたある日、遠回しに外見を褒めるようなニュアンスを感じることがありました。ただの自意識過剰かも知れませんがとても嬉しかったのです。

 

私は幸せ恐怖症で、簡易チェックから抜粋すると「自分だけ幸せで申し訳ないように感じる」に該当します。根本的な原因は家族で、それからもほぼ自己愛の顔色を見てきたせいではないかと思います。

自己愛は例え親子であっても、他人が褒められたり認められることは許し難いのです。善悪に関わらず目障りで邪魔な存在でしかありません。

そうとも知らず成果を上げれば上げるほど攻撃され、当然ながら努力は報われず徒労に終わるのです。

精神的に追い込まれて積み上げたものを失い、残るのは虚無感だけ。これを繰り返し「自分は幸せになってはいけない人間なんだ」と思うようになりました。

人前で褒められるのがとても怖い。良い事があっても人に言えない。本当に欲しい物も誰かが欲しがっていたら譲ってしまう。自分さえ我慢すればいいんだと思ってしまう。例え見下されても妬まれるよりいいと思う。私は弱かった。

それと私は決して美人ではありません。女性から綺麗と言われる事はあまりないですが、男受けすると言われる”幸薄い系”です。これも色々あって自分の顔が嫌いな訳じゃないのに受け入れられないでいたのです。

 

この頃、人間の汚い感情を見ずに済むIさんといる時間をとても大切に思うようになっていました。

そのIさんが褒めてくれるのなら他の人にどう思われてもいい。「綺麗になりたい」と思いました。