自己愛の観察~濡れ衣~

自己愛がやらかした得意先へ行ったので、一応会社の人間としてお詫びを申し上げた。すると相手の態度がおかしい。やはりというべきか、私の責任になっているのだと悟りました。

自己愛はとても小心者で、怒られる事をとても嫌う。話し合いとは無縁で、とにかく声を張り上げて勢いだけで勝ってしまおうというスタンス。問題解決能力もないに等しい。人のせいにするしか方法がないのです。

私はどうするべきか考えました。部下である私の責任にした方が会社としては体裁はいい。これまで他の会社なら迷わずそうしてきた。しかしそんなことをする意味があるだろうか。

頭を下げるのが嫌な訳ではありません。ただ自己愛を庇い自分が悪者になる必要はないように思えたのです。自分さえ我慢すればいい、その思いを踏み台にされるだけではないか。Iさんならこんな時どうするだろう。Iさんなら。

私は真実を伝えることにしました。もちろん自己愛を責めるような事は言わなかったけれど、私の真意は伝わったようです。理解はしていただけたものの、身内の揉め事に顧客を巻き込んだ事には変わりありません。

これで本当に良かったのか。帰りの車中で色んな事を思い出していた。幼い頃から濡れ衣を着せられても言い返せずに我慢してきたこと。他人の嫌がらせにも黙って耐えてきたこと。報われるかどうかは別にして、私はそこまで自分をないがしろにしなければいけなかったのでしょうか。

営業としては失格かも知れない。けれど自分の身を守る術も持ち合わせていなければならないし、自分の非を部下に押し付けるような人間を庇う事だけが最善の方法とも思えない。いずれ結果は出る。

 

それにしても、必要とされたがる人間はどうして余計な事ばかりするのだろう。何かマニュアルでもあるのでしょうか。純粋に謎。