投影の引き戻し

私は以前、AC同士の友情という記事を書きました。この友人と一緒にいた頃は、彼女を引き上げようと本気で考えていた。だけど彼女の抱えていた問題はACだけではなかったような気がする。

彼女は人の気持ちが理解できない人です。一緒にDVDを見ていても登場人物がその行動に至る理由がわからなかったり、間違った解釈の仕方をする。それは実生活でも様々な問題を引き起こす原因になっていた。

そして誰彼構わず自然に暴言を吐く。嫌がらせといった自覚があるのならまだいいと思えるほど悪気なく他人を傷付ける。周囲が大人になって耐え続けるも、当然そうはいかない場面もでてくるので、注意したり反論すると「馬鹿にされた」と大騒ぎになることもありました。

私もたまりかねて、彼女の発言によってこうなったんだと説明するも「そんなことは言っていない」の一点張り。悪気がないから自分の言ったことを全く覚えていないのです。その記憶はすっぽり抜け落ちている。他人からすれば都合の悪い事は忘れる勝手な人だと認識されます。

私は彼女の記憶に関する部分を、どうしても受け入れることができなかったのだと思う。

彼女は共依存傾向にあったため、他人の悩みに首を突っ込んでいくタイプで、その度に私の意見を聞いてくる。そしてある時、私の意見が彼女の意見になって相手へ伝わっていることに気付いた。

彼女も承認欲求が強く、頼られる事にとても執着していました。わざわざ悩みのある人に近付くけれど、人の気持ちが理解し難いのでアドバイスはできないと自分でわかっていたのだと思う。私は利用されているのだと思いました。でも彼女がそれで良好な人間関係を保てるのなら別に構わないとも思っていた。

だけど彼女の記憶の中では、早ければ数日で自分の思考に刷り変わっていくのが、私には到底理解できなかった。私に質問した事すら記憶から無くなり、私に向かってアドバイスしてくることも多々ありました。

彼女の持ち掛けてくる問題に辟易していたのも事実だけれど、それ以上に気持ち悪いと感じてしまいました。自分が乗っ取られるような薄気味悪さ。

彼女が私に執着していたのは、私が彼女の承認欲求を満たすための生命線だったからです。私は距離を置いた当時ここまで考えていなかった、というより最近まで忘れていました。

 

私は先月の上旬あたりから自己愛に対して今までにない感情を持つようになりました。彼の我慢が限界にきたのか例によって暴言を吐かれたのだけど、怒りとか憎しみとかそういったモノが何もなかった。例えるなら道端で一人で怒っている他人を見ているような感覚。

そして彼女に感じたのと同じ気持ち悪さを感じ始めています。彼は他人の真意を読むことが苦手だ。それはわかっていたし利用してくれてもいいと思っていた。

だけど何もかもが下らなくなってから見えてきたこと。

自己愛は最初はこんな人ではなかったと書いたけれど、最初からそんな人だったんだ。過去の私が自己愛に理想を投影していただけだった。少なからず尊敬していた自己愛は元から存在しなかったということです。

今の私には自己愛がとても小さく見える。こうした心の働きは「投影の引き戻し」というそうです。私はやっと心から「親に似た人に認められたい」という思いを手放せたのかも知れない。