贖罪

少し前からソウルメイトのNさんのことがとても気になっていた。

今、何をしているのだろう。不義理をしているゆえ、「お元気ですか?」と気軽に電話もかけられない。そもそも電話帳に残っている番号は通じるのだろうか。ぐるぐると考えているうちに日々は過ぎる。

今日、Nさんから電話があった。取ると何も言わずに切れた。心臓が音を立てる。慌てて掛けなおすと「(私)から電話」とNさんに取り次ぐ声がした。嫌な予感。

Nさん「〇〇〇(私)?」

私「私、ずっと電話をかけたくて」

Nさん「〇〇〇、…会いたいね」

 

今どこに住んでいるのかを説明するNさんは呂律が回っていなかった。ついに来るべき時が来たんだろう。驚くほど年を取らなかったNさんは、私の中で「老いない人」だという認識しかなかった。だから私が心配しなくても大丈夫なのだと、安心しきっていたところもある。そんなわけないじゃん

「何か食べたい物はない?」「何か欲しいものはない?」と繰り返す私に、Nさんは「…(私)の顔が見れたらいい」と呟いた。

 

私は罪を認めなければいけない。私に泣く資格なんてないのだ。心を乱す権利なんてないんだ。

全てを受け入れること。今の私に必要なのはそれだけ。