感情移入

お盆休みに入る前日、仕事を終えて家に帰る途中、曇った空から急に光が差し始めた。雨上がりの空には虹がかかりやすい。虹の見える方向をチラチラ見ながら運転してたのだが、その先には分厚い雲しか見えなかった。

夜になり、会社の人からメッセージが届いているのに気付く。晴れた空に掛かる大きな虹の写真が添付されていた。やはりあの分厚い雲の向こうには虹が掛かっていたのだ。

私は割と虹を見るので、そんなに珍しいものではないんだけど。「在る」ってこういうことなんだよなーと思ったわけです。

虹はちゃんとそこに出ており、確かに「在った」。ただ私には見えなかっただけである。虹が見えないからといって「今日は出なかった」と決めつけるのは早計だよね、というお話。

上手く説明できないんだけど。見えているものが全てではない、ましてや事実とは限らない。だから私は多くの他人に感情移入できなくなった。

「自分の見たいように物事を見ている」ことを知らないほうが一般的だろう。「自分の見たいように物事を見ている」ことを知りながら「自分の見たいように物事を見ている」人とは全然違うのだ。