「余裕」

初夏。「いよいよ本気で人員を確保せねばならん」と、会社が重い腰を上げた。遅すぎるくらいだが、まぁ進歩したのだろう。

2か月ほど前にオジサンAが入社してきた。能力とヤル気があれば何歳でもいいと私は思っているので、オジサン度合いはさして問題ではない。

初見の印象は可もなく不可もなくといった感じだったが、その数分後に交わした上司との会話を聞いていて、ワタシ的には『不可』となった。オジサンAの心に潜む被害者意識を見逃せなかったのだ。

案の定、2日目にして業務班からは大ブーイングが起きる。だろうな。そして試用期間満了を待たずに退職を申し出た。もう少し頑張ってもらえないものか、とボヤく共依存に「お互いに時間の無駄でしょう」と言うと「それもそうね」とあっさり切り替える。

自己愛にしろ共依存にしろ、私の意見は積極的に取り入れてくれるようになったのだが、こういう時は本当に頑張って良かったと思う。

そして一度は断った別のオジサンに打診してみると、あっさり入社することになり。

いきなりの早出で2日ほどお目にかかれなかったオジサンBを初めて見た時、少し離れた距離でもわかるほどの只者ではないオーラを放っていた。「あの人、出来るでしょ」と業務の頭に聞くと「いいね」と笑っていた。だろうな。

そこで疑問が湧く。なんでオジサンBはその年齢で会社を辞めたのか。自己愛に聞いてみると。上手く使われた挙句、抗議したら暴力を振るわれたらしい。某大手なのに。

パワハラで会社を辞めた」一言でそうはいっても会社に原因がある場合と、本人に原因がある場合があってだね。本人に原因があればパワハラをしてもいいということにはならんが、理由って大事だと思う。

つーか。なんでこのオジサンBを断ったのかも大きな謎。話の流れで「前職の給料が高い」という理由だったことが判明。対するオジサンAは「働かなければならない」理由があったのだ。

あのね、働かなければならない理由は戦力と比例しないんですよ。もっといえばヤル気にも比例しない。逆に前職の給料が高いこととそれらは反比例しない。「余裕」(オジサンB氏の発言)で働いていても能力の高い人は高いのだ。

働かなければならない理由がある人は仕事を頑張るだろう、などという幻想を平成に捨ててこなかったことに驚く。

早急なアップデートが必要だと感じる。

 

45歳定年説ってそういうことじゃないの?